一世帯一住宅(2)

戦後の住宅政策は、「一世帯一住宅」、「住宅難解消」が重要な政策目標として掲げられてきました。敗戦直後に戦災による420万戸の絶対的住宅不足に陥り、国民の住まいの確保が課題となったわけです。

ところで、「一世帯一住宅」ですが、1966年の第一期住宅建設五箇年計画(1期5計)で目標とされています。「一世帯」とは、家族を単位として捉えるということで、戦前の大家族主義とは異なるものの、親子等の親族を中心とする世帯構成者が一体として、「一住宅」に住まうということを指しています。国勢調査(国調)では、従来普通世帯と準世帯という区分けが用いられていました。準世帯とは、下宿人、間借り人、会社の寮に居住する単身者など同一の場所に住むものの家族ではない集団と定義されていました。現在の国調(1985年)では、一般世帯と施設等の世帯(老人向け施設などへの入居者)とに区分けされ、それまでの準世帯は、単身者も生計を別にしている場合は、単独の世帯、つまり一般世帯として扱われています。

一方、「住宅難」は、①非住宅居住、②同居、③狭小過密居住(九畳未満/世帯、かつ二・五畳未満/人)、④危険・修理不能住宅居住のいづれか1項目該当とされています。

ここで、「住宅」について考えてみることにします。住宅・土地統計調査では、「完全に区画された建物」で、「一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができる」ために、「①一つ以上の居室、②専用の台所、③専用のトイレ、④専用の出入り口」を備えていること(公営住宅においては、長いこと専用の浴室が設けられていませんでした)とされています。但し書きで、共用の台所、共用トイレは、他の世帯の居住部分を通らないで使えれば住宅とみなす(これにより、設備共用の木賃アパートが住宅にカウントされている)とされています。寮、寄宿舎、旅館、宿泊所は、住宅とはみなされていません。

「一世帯一住宅」は、1968年の住宅統計調査(住調)で、全国的には達成が確認され、1973年住調で、全都道府県での達成が確認された。また新たな目標となった、「一人一室の規模を有する住宅の建設」も1973年での達成が確認され、1975年の3期5計では、「最低居住水準」の解消が目標として掲げられています。残念ながら、この最後の目標の達成は、いまだに確認されていません。