住宅政策(1)

昨夜、「戦後住宅政策を逆送するシェア居住」という過激な表題につれられて、勉強会に参加してきた。講師は、前田昭彦都留文科大学教授でした。論旨に興味があるようでしたら、新建築技術者集団「建築とまちづくり」誌の2014年4月号「一世帯一住宅の足かせ~シェア居住から考える戦後住宅政策」をお読みください。

まず、「シェア居住」とは、「家族ではない複数の居住者が台所などを共有して一つの家に住む形態を指す」(小林秀樹千葉大学教授)の定義を採用しています。

この「シェア居住」が、日本の住宅政策の中で、例えば「住生活基本計画」の中では、実態把握が十分でないので、まずは調べようとしており、政策的に位置づけられていない証左だとしています。

論点としては、「シェア居住」とは、そもそも非親族の同居であり、戦後住宅政策の目標「一世帯一住宅」に反し、「住宅難世帯」に相当しており、戦後住宅政策に逆行する居住形式であるとしています。

お年を召した参加者から、戦後間もないころに、大きな兵舎跡の建物に、在留の、また引き揚げの日本人家族や朝鮮の方の家族など大勢で住んだ経験が語られていました。また、海外留学経験の若い世代からは、「シェア居住」が一般的な居住形態とも報告がありました。

スタイルは変わってきてはいますが、「シェア居住」は、庶民の間では、連綿とつながる居住形態といえました。そこで、講師は、重要な居住形式であるので、住宅政策上の論理的不整合を正したいという提議がありました。